Excel オートメーションとは
Excel オートメーションでは、ロボティック プログラミングによって、Microsoft Excel のプロセスや機能を自動化します
1982 年以来、Microsoft Excel は、多くの Excel スプレッドシート (別名: ワークブック) やタブ (別名: ワークシート) にまたがってデータを計算するという驚くべき機能によってビジネスを支えてきました。ツールバーを使うと、グラフやピボットテーブルの作成はもちろん、さまざまなソースからデータを検索して編集することもできます。最も重要なのは、プログラミング言語の VBA、Visual Basic Editor、マクロ レコーダーによって、複雑性にかかわらずさまざまな定型タスクを実行できることです。
これまで、財務処理や従業員のスケジュールなどの多くのビジネスプロセスに、主にスプレッドシートが使われてきました。AI、ビッグ データ、クラウド コンピューティングが普及しつつある現代でも、多くの組織で Microsoft Office アプリケーションは欠かせず、Excel を使用してスプレッドシートで大量のデータが管理されています。
しかし、VBA は無限の可能性が秘められているものの、習得が非常に困難です。ユーザーが特定のデータ セットを処理するために、自動化の実例や手の込んだ Excel テンプレートを事前にプログラミングするのに何時間もかかってしまうことがあります。1 つのテーマについて指導したり、「開発者タブはどこにありますか?」や「マクロ名を変更するにはどうすればよいですか?」などの質問に答えることを目的としたチュートリアルやオンライン セミナーは、山のようにあります。
こうした多くの無駄な時間やワークフローの中断は、Excel オートメーションで解決することができます。これにより、ユーザーは反復可能なプロセスを自動化でき、VBA コードを学ばなくても、マクロを作成して記録し、それを使用してレポートを作成することができます。さらに、このフレームワークを最新化し、ビジネス インテリジェンスやデータ サイエンスに関するツールを組み込むことで、組織は Excel データを最大限に活用することができます。
Excel オートメーションを利用するメリット
Excel ファイルの作業をより快適にするために、Excel オートメーションができることはたくさんあります。Excel オートメーションにより、複雑な作業が簡素化され、企業はプロセスを迅速かつ正確に繰り返すことができるため、時間やコスト、労力を削減できます。また、古いビジネスプロセス (およびシステム) を更新し、詳細分析、データ サイエンス、ビジネス インテリジェンスを実現する最新のプロセスやシステムとシームレスに連携させるためにも、Excel オートメーションが重要になります。
要するに、Excel オートメーションにより、従来の構造化データがまったく新しい形で活用できるようになるのです。最新のオートメーション ツールを利用することで、企業は構造化データを半構造化データや非構造化データと連携させ、これらの情報を有益に活用できるようになります。具体的なメリットには以下のようなものが挙げられます。
使いやすさ
Excel オートメーションにより、値の更新、セルの書式設定、マクロの実行などの手間のかかる作業を自動的に実行できます。ユーザーはこのような細かい作業に煩わされることなく、スプレッドシート内の重要な情報に専念し、効率的かつ快適に作業することができます。
情報に基づいた意思決定
Excel のタスクを自動化することで、必要な情報をスプレッドシートからカラフルなダッシュボードやグラフに取り入れることができます。このようにデータの意図を視覚的に示すことで、情報に基づいた意思決定を行うことができます。同様のプロセスで、Excel の情報を分析ツールに抽出することもできます。
エンタープライズ システムへの統合
Excel プロセスの自動化は、スプレッドシートとそのデータをあらゆるエンタープライズ システムに統合するうえで重要になります。自動化により、スプレッドシートを新たな情報源として、最新のエンタープライズ システムに取り入れることができます。
データの共有
ユーザーは、XLS、XLSX、XLSM (VBA マクロに特化した Excel ファイル)、CSV ファイルのデータを安全に共有することができます。Excel オートメーションにより、データを暗号化して圧縮し、場所を問わずに別のユーザーに転送できます。これらのステップはすべて容易に自動化できるため、安全に共同作業が行えます。
リスク管理の強化
スプレッドシートやその他のリソース間でデータを転送する際、小さなミスが発生することはよくあります。そのような小さなミスが雪だるま式に大きくなり、会社に悪影響を及ぼすこともあります。自動化を使用すると、データ転送のリスクを回避できます。
導入時の影響が少ない
RPA は、企業のプロセスへの影響を最小限に抑えて導入できるように開発されています。RPA プラットフォームの統合やアップグレードが行われている間も、チームは慣れ親しんだテクノロジーを使って作業を続けることができます。
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Excel オートメーションの事例
Excel オートメーションは、さまざまな業界や事例で幅広く利用されています。どの業界でも、経理部門で財務情報の管理に利用されているケースがかなり見られます。人事部門はいまだにデータをスプレッドシートで管理しており、自ずと Excel オートメーションを導入しています。サプライ チェーン ネットワークを Excel オートメーションで管理している企業もあります。
具体的に、多くの情報をスプレッドシートで管理している官公庁・地方自治体などでは、Excel オートメーションの導入がある程度進んでいます。製造業においても、調達やパートナー関係などを管理するのに特に有効活用されています。Excel オートメーションの詳細な事例は以下のとおりです。
医療
医療機関は膨大な患者データを保管しており、通常スプレッドシートで管理しています。多くの場合、これらの情報は、医療機関や医薬品に関するデータと相互参照されます。Excel オートメーションにより、予約、経過観察、治療などの際に、情報管理プロセスを効率化できます。
公共部門
官公庁・地方自治体では、個人、組織、地方自治体、その従業員に関する多くのデータが Excel ファイルで管理されています。Excel オートメーションにより、これらの組織は、データの抽出や移行を加速できるだけでなく、新しい住宅所有者などのデータのインポートや追加も行うことができます。
製造
製造業では、サプライ チェーン ネットワークや調達に関するデータをスプレッドシートで管理している企業も少なくありません。Excel オートメーションにより、遅延の少ない開発を含め、パートナーや備品に関するデータを自動で入力したり、データを検索して分析したりすることができます。
金融サービス
銀行や金融サービス企業では、顧客情報から、住宅ローンや融資限度額、その他のサービスに関するものまで、さまざまなデータをスプレッドシートで管理しています。自動化により、こうした情報を下流のシステムに迅速に読み込んで分析し、顧客に融資を行うかどうかなどを判断することができます。
営業・マーケティング
多くのマーケティング・営業サービス企業は、特に複数のタッチポイントがあり、コンバージョンまでの時間が長い現代のカスタマー ジャーニーにおいて、顧客データの管理に苦労しています。そこで重要なのは、プラットフォーム、タッチポイント、分析チャネル間で顧客データを正確に統合することです。多くの場合、その元となる顧客データは既存の Excel シートにあります。自動化により、顧客データの集約・統合における手間やミスを解消し、より優れたカスタマー エクスペリエンスを実現することができます。
ビジネスプロセス オペレーション
数ある BPO サービスの 1 つに在庫管理がありますが、管理を複数のシステムで行わなければならないことが多々あり、それを 1 つのシステムに統合するには大変な手間がかかります。事業部門では Excel での管理が主流であるため、多くの企業はスプレッドシートを使用しています。Excel オートメーションにより、在庫の照合などを自動化することで、在庫管理が容易になります。
Excel オートメーションに関するよくある質問
データに基づいて動的レポートを作成するなど、Excel の一部の機能はすでにプログラムの内部で数式によって自動化することができます。しかし、RPA を使用した Excel オートメーションにより、Excel の本来の機能をさらに強化できます。その中でも、特に次のような手作業を省くことができます。
データの移行と抽出
データベースの統合
アプリケーションの統合
分析レポートの作成
データのクリーニングと解析
違います。ロボティック・プロセス・オートメーションとマクロは似ている部分もありますが、大きな違いがあります。
最も大きな違いの 1 つは、制限です。マクロは Microsoft Office スイートに限定されているため、Excel の作業を Office 以外に拡張することが難しい場合があります。しかし RPA ではほかのアプリケーションと連携できるため、より幅広いタスクを実行できます。
2 つ目は使いやすさです。RPA は使い方が簡単で、ドラッグ & ドロップのインターフェースを使用します。コーディングの知識は必要ありません。一方、マクロには、マクロの作成に必要なコードなど、VBA に関する深い知識が必要です。
お客様のニーズによります。Excel 以外や Office 以外に作業を拡張する必要がなければ、役立つ可能性は低いかもしれません。VBA のコード スニペットを自由自在に作成できるなら、RPA や Excel オートメーションは必要ないでしょう。しかし、そのようなマクロのコードをすべて手作業で作成してデータをコンパイルする手間を減らしたい、あるいは Excel の機能をほかの分野やアプリケーションに拡張したい場合、RPA が役に立ちます。
わかりきった質問と思われるかもしれませんが、実は必要ありません。Automation 360 のような RPA プラットフォームでは、プログラムをインストールしなくても Excel のシート (英語) やワークブックを管理することができます。これもまた、RPA でビジネスプロセスをよりスムーズにする一般的な方法の 1 つです。
クリーンなデータです。Excel のようなデータシートを社内の複数の部門で使用している場合、データの整合性を保つことは最も重要な検討事項の 1 つであり、監視も極めて難しくなります。Excel のワークフローを自動化することで、クリーンなデータが提供され、データの結合、比較、照合、その他のデータ管理作業を正確に行うことができます。
いいえ。RPA による自動化はあらゆる規模の企業で利用でき、非常にスケーラブルなため、Excel オートメーション ソリューションも企業のニーズに応じて拡張できます。
Excel オートメーションを開始するには
Excel オートメーションを始めるのに最もお勧めの方法は、ロボティック・プロセス・オートメーション (RPA) ソリューションを導入することです。RPA ソフトウェアは、Bot と呼ばれるソフトウェア エージェントを使用して、Excel の作業を自動化するために必要なさまざまなアクションを実行します。RPA ソリューションは Excel とうまく連携します。日常的に発生する反復可能なプロセスの自動化に特化しているだけでなく、スプレッドシートの構造化データに使用するツールとしても優れています。
RPA プラットフォームを導入すると、簡単に手作業を廃止し、Excel の作業を自動化できます。ポイント & クリックやドラッグ & ドロップなどの簡単な操作で、プロセスにおけるさまざまなステップを Bot に示すことができます。
優れた RPA ソリューションでは、コンピューター ビジョンや AI を使用して、これらのステップを個々のマウス クリックに至るまですべて監視します。プロセスが完了すると、システムが Excel のタスクを自動化するために Bot をどのように展開すべきか分析します。この機能は、ほかのシステムから Excel へ、または Excel からほかのシステムへの情報の転送などのタスクにも利用できます。
たとえば、RPA は、さまざまな Web サイトから情報を「スクリーン スクレイピング」してスプレッドシートに入力することに長けています。値の更新や、特定の作業のためのセルの書式設定など、手間のかかる定型タスクを自動化することで、企業は時間とコストを削減できます。RPA は、こうした仕事を人間よりも効率的に (かつ迅速に) こなすことができます。また、Bot は疲れることがなく、人間のように残業や注意散漫によってミスをすることもありません。
最後のステップの 1 つは、Bot を展開して、Excel オートメーションをほかの事例に活用することです。たとえば、すでに Excel の一部の機能をマクロで自動化している場合、Bot が代わって企業全体でこのタスクを実行することができます。その精度の高さは、スプレッドシートの情報を機械学習モデルのトレーニングに取り入れたり、営業チームのメンバーの生産性を分析したりといった、下流のプロセスを開始するのに最適です。RPA による Excel オートメーションは、エンタープライズ クラスに対応し、信頼性と安全性に優れたソリューションです。
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